仕事と目的と幸福と 【週間日記 #23】

今週は、仕事と趣味から幸福について考えてみました。

 

 

仕事をするということ

仕事をするってなんだろう。

ある事柄を行う際、私はそれがどんな力学で回っているものなのかをまず知りたくなる。ところが仕事をしていると、「それって本当に今必要なこと?」「目的ちゃんと理解してる?」とか言われる。(いや、与えられた仕事こなしてるだけなんだが)と言いたいところをグッとこらえて、目的思考をするよう努めている。

 

そこで気づいた。

人は、ある目的ができたらその目的の手段として初めて物事を理解をしようとする。だから目的にない事柄は、そもそも考えないし理解もしようとしないんだと。言われてみれば当たり前の話で、自分も興味ないジャンルのことなんて調べないし考えもしない。

 

ということは、だ。

仕事というのは、相手と目的をすり合わせて理念を共有し、その実行手段を提供することだったのだ。もし相手に新たな理念を伝達・啓蒙することができるのであれば、それは特殊技能であってそれが職人の仕事だったのかとわかるのだった。

 

世の中には、言葉と実体がかけ離れていることが多々あって、それで仕事が嫌になるケースが多いんだろうけど、それも先方と目的をすり合わせた結果なんだろうと思うことにしている。本質的ではないのかもしれないが、相手はそれを求めていないのであって、まず目的をすり合わせて実行手段を提供することが大切だ。もしそこから何か新しいものを提供できれば、立派な社会人になれるんじゃないかと漠然と思った。

 

人生は仕事か

仕事の論理を人生に置き換えてみる。

つまり、ある目的を叶えるために人生は存在し、現在の生はその手段なのだから一日一日に意味を持たせよう、と。

 

なるほど、確かに一理ある。

例えば、野球の大谷選手はまさに上記の論理を体現した方である。毎週毎週ホームランの本数が増えていくニュースを聞くたびに元気をもらえる。コロナ禍で明るい話題を触れられることだけで幸せな気持ちになる。

 

でも。

自分の人生に目的を設けられなかったり、ある程度目的を達成してしまった人はどうなるのだろう。後は余生を生きるだけ?

 

人生の幸福とは何だろう

そんな疑問を解消してくれる本があった。『現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと』では、現代人の生のリアリティについて以下のように記している。

未来にある目的のための現在の手段化という時間の回路は、他者との交歓とか自然との交感から来る現在の生のリアリティを漂白するが、この空虚は未来の「成功」によって十分に補うことができる。(中略) 達成されてしまうと、この自明の目的のための現在の生の手段化という回路が、初めて根拠のないものとなる。 (中略) 転回の基軸となるのは、幸福感受性の奪還である。再生である。感性と欲望の開放である。存在するものの輝きと、存在することの祝福に対する感動能力の開放である。

現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと』見田宗介

 

これを読んで私には思い当たることがあった。

私にはポピパの考察を熱心に行っていた時期があったのだが、その時に「そこまでして考察をすることに意味があるのですか?何の役に立つのですか?」と言われてしまい、返答に困ったことがあった。

 

私が行う考察は、知的好奇心によって駆動されている。だから「楽しさ」と「理解」が密接に結びついている。これは目的のための手段として理解したのではなく、“感性と欲望の開放”としての考察であった。意味や役に立つかどうかに囚われず、好きなコンテンツの理解と解釈に勤しむ行動が、私の“存在するものの輝きと、存在することの祝福に対する感動能力の開放”であり、私のオタク人生であるといえる。

 

やっぱり、ポピパ

見田は、幸福感受性を奪還するための実践として、3つの考え方を提案している。

第一にpositive。肯定的であるということ。

第二にdiverse。多様であること。

第三にconsummatory。現在を楽しむ、ということ。

現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと』見田宗介

 

肯定的であり現在を楽しむということは、現在あるものをそのまま受容し承認することではない。今は存在していないかもしれない、真に肯定できるものを前向きにつくり出していくということだ。例えば私の場合、毎週記事を創り出すことで、その活動を充実した、悔いの残らないものとしていくようなもの。

 

そしてこれら3つは以下として統合するとしている。

具体化したイメージの一つを提起するならば、<胚芽をつくる>ということである。新しい世界の胚芽となるすてきな集団、すてきな関係のネットワークを、さまざまな場所で、さまざまな仕方で、いたるところに発芽させ、増殖し、ゆるやかに連合する、ということである。

現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと』見田宗介

 

びっくりした。これは何てポピパだろう。前半の引用がキラキラドキドキ、後半の引用がCiRCLINGを解説しているのではないかと本気で疑うレベル。

現代人としての生き方の体現がポピパだったのか…… やはりすごいコンテンツだ……

 

結論

効率的な仕事の達成に目的思考は大切だと思う。また、仕事と人生が密接に関係する生き方も素敵だと思う。

でも、そうした生き方ができなくなったときに容易に虚無になってしまう。虚無にならないように生きる方法もあるんだなと改めて思ったし、推しコンテンツのすばらしさを改めて感じた。

 

余談

ddnavi.com

よっぴーさん!!! 本当に尊敬する。