藍月なくる楽曲を語りたい

※ 独自解釈多めです。

※ こんな場末のブログに藍月なくるさんが来ていることは無いと思いますが、一応藍月なくるさんは閲覧注意です。(読みたいなら止めません……)

 

 

はじめに

 1stライブで藍月なくる沼に堕ちた新参オタクによる楽曲語りです。個人的に、なくるさんの歌は「多種多様なテーマを演じ分ける表現力」が魅力的なのかなと感じています。

 私はLa prièreでなくるさんを知ったので、3人の活動はだいたい同じものだと思っていました。しかし、先日のソロライブでnayutaさんや棗いつきさんは歌手で、藍月なくるさんは声優だということがわかり、その表現に沼りました…… これはどういうことかというと、nayutaさんや棗いつきさんは「自身の音楽ジャンルを確立しつつ、自己物語を紡ぐ」ソロ活動を行っていますが、藍月なくるさんの場合、音楽ジャンルで語るのではなく「演技を軸とした多種多様な楽曲」と捉えると、藍月なくる楽曲のエモさやすばらしさが言語化できるのではないかと思っています。この記事は、そんな藍月なくる楽曲のエモさをオタク語りしよう!という目的で書いています。

 

テーマ

藍月なくる

 藍月なくるさんを象徴するような楽曲はいくつか存在すると思いますが、まずは「Indigrotto」を取り上げたいと思います。この楽曲は、なくるさんの推し作曲家である北川勝利さんが作曲し、作詞はなくるさんご自身がされています。

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 私はやなぎなぎさんと北川勝利さんのオタクでもあるので少し辛口に評価してしまうのですが、実は初見では正直微妙かなと思っていました。というのも、北川勝利さんの良さは「春擬き」や「ユキトキ」に代表されるような“爽やかさ”にあると思っていて、「Indigrotto」では(歌詞が暗いために)良さを生かし切れていないと思っていたからです。

 しかし、これは楽曲を音楽性で評価する「歌手」としてのもの。藍月なくる楽曲が「声優」楽曲と判明した今では、評価が180度変わってしまいました。

 「Indigrotto」は1stライブで概念(VTuberのすがた)が歌った唯一の曲であり、「Indigrotto」のテーマとは、“藍月なくる概念”そのものです。そんな“藍月なくる概念”とは、「月明かりも届かないほど暗い海の底で藍月なくるさんが歌い続けている」というものです。月明かりも届かないほどの暗闇という、重く暗いテーマを扱っていることを踏まえると、対照的に曲調はかなり明るいことが分かります。つまり、北川勝利さん基準で暗い楽曲だと思っていたこの楽曲が、藍月なくる基準では明るい楽曲だと分かったわけです。「自身の暗いテーマをポジティブに表現するために、勝利楽曲特有の“爽やかさ”を効果的に用いている」と解釈でき、この楽曲が「推し作曲家に自身の物語を曝け出してでも、爽やかにファンと物語を共有したい」という藍月なくるさんの思いが伝わってきて、とてもエモいんですよね……

 

 爽やかさといえば、「Indigrotto」の正統進化といえる新曲「クラリムステラ」ですよね。

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 「Indigrotto」では海の底に留まっていた藍月なくる概念が、「クラリムステラ」では「星空」*1や「光」を見つけたことで、「自分のためではなく君のために歌おう」と決意する楽曲となっています。“海を照らし出す 月のように歌おう”という歌詞は、「Indigrotto」を知っていると涙が止まらない……

 

偶像

 「Indigrotto」→「クラリムステラ」の一番大きな違いが、「君のために歌う」ことですが、そのテーマが「FAKE IDOL」から来たのではないかというのが私の独自解釈です。(「わたしがわたしに至った10の理由」が平成の藍月なくる、「FAKE IDOL」が令和の藍月なくるらしいのですが、前者は私の勉強不足で解釈できていないので、詳しい方こっそり教えてください)

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 「FAKE IDOL」は、演者がアイドル(偶像)を演じるあまり、本当の私を見失い、最終的にはアイドル(偶像)を演じ続けると演者が決意する楽曲です。この「FAKE IDOL」という楽曲は 「FAKE IDOL」としての表現があまりにも解釈一致しているために、藍月なくるを認識していない界隈外にも広く評価されています。

 個人的に「FAKE IDOL」の美味しいところだと思っているのが、曲中で3回登場するサビの表現です。演者がアイドルを表現する1サビ、本音が爆発して気持ちを全て吐露し投げ出してしまおうとする落ちサビ、それでも演者が偶像を演じ続けると決意する、少し狂気的な表現が光るラスサビ、と見事に演じ分けられています。なくるさんの、このいつ壊れてもおかしくないような女の子の表現が私は本当に大好きです。

 

 藍月なくるさんのことを知らなくても楽しめるのがこの楽曲の強みですが、藍月なくるさんのことを知っているともっと楽しめます。なくるさんは過去に「FAKE IDOL」のMVが公開されたタイミングで生放送を行っていますが、その時に「これを聴いてみんなどう思った?」とファンに感想を聞いているんですよね*2。「ぞくぞくしました」「胸が痛くなった」「怖かった」とコメントが並んでいく中、「藍月なくるだと思った」というコメントを見つけて「藍月なくるのことをこういう風に思ってるんだね、みんなは」と返しているのが本当に良くて(少し嬉しそうだなと思いました)。“ファンの藍月なくる像”を意識して「FAKE IDOL」を表現しているのが明らかだし、意図通り伝わっているか点検するなくるさんが愛おしい。

 

 1stライブの「FAKE IDOL」の歌唱もまた素晴らしかったんですよね。MVの3割増しで萌え萌えアイドルボイスの1サビ、吐息多めで本音を吐露しているような感覚を味わえる語りの台詞、MVと異なり狂気成分少なめでアイドルを演じきるラスサビと、MVとはまた違う解釈が味わえてオタクとしては大満足でした。

 

 最後に「FAKE IDOL」とは少しずれますが、偶像について少し私見を語らせてください。私はただのオタクなので本当のところはよくわからないですが、演者が「本当の私を見てくれない」と葛藤することは割とよくあることのようです。私の初めての推しも、「FAKE IDOL」のアイドルのように、パブリックイメージと素のギャップ(個性)に悩まれていました。小出しに見せる素の要素を含んだ楽曲を、ファンが徐々に受け入れるようになると、彼女は安心して素の自分を表現して下さるようになりました。一連の成長をオタクとして眺めていた自分としては、パブリックイメージと素のギャップという葛藤から演者が克服していくことは、ある種の通過儀礼だと思っており、私はそうなっていく演者のことを、「演者が“演者”になっていく」とポジティブに捉えています。そういう意味で、「FAKE IDOL」の楽曲解釈としては正しくないのかもしれませんが、私は「FAKE IDOL」をTrue Endだと思っています。

 

 話を戻します。
 個人的に、藍月なくるさんの本当に恐ろしいところは、アイドルだけでなくインターネットエンジェルをも表現することができる才能だと感じています。『NEEDY GIRL OVERDOSE』という作品の「INTERNET OVERDOSE」「INTERNET YAMERO」のCover、こちらも界隈を問わず非常に人気です。

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 『NEEDY GIRL OVERDOSE』は、メンヘラの女の子の精神状態を管理しながら最高の動画配信者にすることを目指すゲームです。本作は、一部の過激な表現の是非に注目が集まっていますが、本当にヤバいのは「インターネット概念」だと思うのは私だけでしょうか……?

 「INTERNET YAMERO」の歌ってみたが本当に解釈一致過ぎて……インターネットの天使に成り代わることのできる““女””がクラリムステラに到達することは自明だったのだと確信させるだけの破壊力があります。

 

 あまりにも「インターネットやめろ」概念の表現が上手すぎるから原曲も当然そういう風に歌っていると錯覚させてしまうのだけれども、原曲に戻ると歌い方が全然違うことが分かります。解釈が一致していたのは「INTERNET YAMERO」ではなくて、藍月なくる概念の「INTERNET YAMERO」だったのだと分かったときの衝撃!!! 
 “ほんとうは幸せを知っているのに 不幸なフリやめられないね”←ここ原曲では語り掛けるように歌っているのに、どうして藍月なくるさんはひとりごとのように呟いているのでしょうか??(「健康」の文字がチラついてきた) 
 本当にこの歌ってみたは最悪すぎて最高です……こんなゴミみたいな私にも、雪みたいに美しい毒電波がやってきたんだね…… 

 

その他のおすすめ楽曲

 ここからはオススメ楽曲を簡単にですが紹介していきます。

 

Cover

 上でも挙げたように、藍月なくるさんはCover楽曲も多くアップロードして下さいます。特にボカロ楽曲だと美味しい。原曲のボーカロイドでは絶対に出せないキャラクター性を、藍月なくるさんのキャラクター解釈として表現して下さるからです。

 

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 「ド屑」はVTuberさんの歌ってみたの投稿が多い楽曲です。他の投稿者さんは、「徐々に感情が抑えきれなくなって爆発する女の子」を表現する中、なくるさんの「ド屑」は、「淡々と語る中に潜むどす黒い感情を抱える女の子」で面白いです。

 

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 「きゅうくらりん」は、好きな子に本心を隠したまま成就できなかった女の子の歌ですが、原曲がその「曲調」で不安定な女の子の心情を表現しているのに対して、なくるさんはその「ウィスパーボイス」で思春期の繊細さを表現していてこちらもまた面白いです。

 

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 「ロミオとシンデレラ」はシェイクスピアによる戯曲が元ネタとなっている楽曲です。ロミシンはその歌詞からちょっとエッチに解釈することもでき、戸山香澄*3によるCoverが有名ですが、なくるさんは少女らしいあどけなさがメインでこちらの表現もまた面白いです。

 

Feryquitous

 Feryquitousさんを出さずに、藍月なくるは語れません。

 

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 私が藍月なくるさんの楽曲で初めてハマったのが「Oxydlate」でした。その時はその曲調によってでしたが、まさか表現でぶん殴られるとは思っていませんでした。1stライブの酸欠なくるの圧巻の表現は本当に衝撃で忘れられません……

 

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 メンズなくるが新鮮で個人的に「これいけるやん!」ってなったのが「フェイク」。棗いつきさんによるCoverと聴き比べてみると、歌手と演者で歌に重視する方向性が全く異なっていて面白いです。一度で二度美味しい楽曲。

 

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 Endorfin.以外の光属性なくるで意外に感じたのが「トワイライト」です。藍月なくるさんは闇属性を完全に脱臭して歌うことができるんですよね。頭がおかしくなる。

 

佐高陵平

 事務所なくるは佐高さん安定だと思っています。

 

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 藍月なくる比で「Killer neuron」が一番激しいのかしら?サウンドの強い楽曲も普通に歌いこなしてて多動しちゃいました……

 

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 藍月なくるVerの「追想ラグナロク」、歌詞が藍月なくるっぽくて少し大人な雰囲気の曲調で、個人的に好みのタイプの音楽です。

 

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 エレクトロスウィングはいいぞ。FAKE TYPE.さんが世界でバズり散らかしている昨今、エレクトロスウィングで世界を獲ろう。新曲の「ねぇ、ダーリン?」、期待しています。

 

おまけ

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 藍月なくるさんのオタクへ。bermei.inazawaさんの楽曲を愛してください、よろしくお願いいたします🙇‍♂️🙇‍♂️

 

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 2ndでこれきたら完全に狂ってしまう……

 

 

 

 

*1:ファンに星のペンライトを振らせているのがニクい演出w

*2:LIVE|MV同時視聴&秋M3告知! (youtube.com)

*3:BanG Dream!に登場するキャラクター