【感想】藍月なくる 1st LIVE “クラリムステラ”

 千葉の本八幡で行われた藍月なくるさんの1stライブに参加してきました。今年VTuber現場は5現場目になりますが、ぶっちぎりNo.1のライブが生まれてしまいました。今後、このレベルのライブを味わうことができないかもしれないと心配するレベルです。これを書いている時も、未だに信じられない、夢だったかもしれない、と感じる素晴らしいライブでした。

 

 

はじめに

 私はなゆふぁんず兼らぷりすです。私にらぷりを教えてくれた藍月なくるオタクの友から「どうしても行きたい」とお誘いを受け、参加してきました。藍月なくるさんは、少なくとも10年前から同人音楽活動をされているそうですが、ライブ活動が苦手らしく、La prièreのライブでライブの楽しさに目覚めるまで、まともにライブを行っていなかったそうです。そういう状況なので、私のようなライトなファンから亡霊になってしまった強火のオタクまで、様々な層から待ち望まれていたのが今回のライブです。

 ライブの予習をするにあたり、友にセトリ予想をお願いしたのですが、「約200曲もあるのにわかるわけないだろ」と怒られ、その中でも確度の高そうな楽曲を選別してセトリ予想を組んでもらいました。昼間から新宿のカラオケボックスに閉じこもってライブの予習もしつつ、これが来たら嬉しいよね的な楽曲も予習して、準備万端な状態でライブに臨みました。

 

セットリスト

 このライブは、藍月なくるのイメージである「深海・泡」と「闇」、「アイドル」にEndorfin.の楽曲を加えたセットリストとなっていましたね。

 1曲目の「Azura Luno」が来た時に「今日は静かに聴くライブか」と早合点をしていたら、2曲目に「Cosmodiver」が来てびっくり*1。戸惑っていると、次の3曲は静かに聴く曲だから信じてねと言われて披露されたのが、「コトノハ」「追想ラグナロク」「Oxydlate」です。特に「Oxydlate」の表現力は、一流女性声優に匹敵すると感じるレベルで感情に訴えかけてきました。

 ここでなぜか可愛いコールが起こるsky_deltaさんが登壇されて、Endorfin.の「Horizon Note」「花残り、蕾ひとつ」「彗星のパラソル」「spica」の4曲が披露されました。幕間映像に注目すると、概念(VTuber)の藍月なくるが現れ、3D衣装の表題曲にもなっている「Indigrotto」のサプライズ演出がありました。映像が深海の奥底に沈んでいくと、最も人気の楽曲である「Evil Bubble」が登場。スピーカーの目の前の座席だったので、低音の音圧が強く、「Evil Bubble」の激しさが強調されてとても良かったです。続く「Lilith」はダンスナンバーで、ゆらゆら身体を揺らしつつ、なくるさんのダンスにも注目でした。軽いMCの後、「逆沙華」のタイトルコール。事前予想で確率低めの楽曲だと思っていたので思わず声が出てしまいました。ラストの「Killer neuron」で無事神経を破壊して、治安の悪いサウンドゾーンは終了しました。

 ステージの照明が落ちたところで、急に萌え萌えアイドルボイスの藍月なくるさん。とうとう(オタクだけでなく)藍月なくるも狂ったかと眺めていると、満を持して「FAKE IDOL」の歌唱です。作りこまれた萌えボイスだけではなく、心の奥底の感情を曝け出すような闇がダイレクトに伝わってくる歌声で、生音でしか味わえない感動がありました。「コンティニュー!」「わたしがわたしに至った10の理由」では闇要素控えめで大好きになりました。ラストの「これくらいで」では涙を流す場面もあり、私も一緒になって““感情””に浸っていました。

 アンコール後に再登場した藍月なくるさん。ライブに込めた思いを語ってくださいました。その中で、「みんなからは凄い人に見えてるかもしれないけど、私って虚無人間」「皆が私を藍月なくると呼び始めて、私の夢は藍月なくるで居続けることだと気づいた」「皆に忘れられたら虚無の自分に戻ってしまう。みんなに幻を見続けていてほしい」と語っていたのが印象的で、新曲「クラリムステラ」は、そんな数々の思いが詰まった素敵な楽曲でした。

 

感じたこと

 まず声を大にして言いたいのが、感情を歌にのせる圧巻の表現力です。特に「Oxydlate」2番の引用歌詞

「ねえ、私は痛かったよ。」

 

ずっと感じてた
意味を隠す気配

 

「君の肺を満たしたいの。」

では、胸を突き刺すような激しい痛みと愛の渇望を直に浴びて、自然と鳥肌が立ち、涙が零れてきました。これ以降もずっと「藍月なくるの苦しみ」を浴び続けているので、とてもつらかった。そして、

「私は呼吸を手放してしまった。」

で座り込んでしまうという演出に思わず茫然としてしまいました。ロングトーンが来る度に終始息を飲んでしまうという状況で、なくるさんの歌唱が終わってから、暫く私は呼吸を整える必要がありました。

 

 どうしてこんなにも人を震わせる歌なのだろうとずっと考えていました。すると、MC中に彼女がお話しされていた“虚無”という言葉が浮かんできました。彼女の本質が“虚無”だからこそ何にでもなれる。人生が演劇のようなものであり、人生が演劇であるならば、「Oxydlate」や「FAKE IDOL」のような藍月なくるを象徴するような楽曲で、自然と感情が歌にのってしまうのは当然のことなのでしょう。実際に、MC中のふわふわっとした素のなくるさんをハブにして、しっとりとした楽曲、爽やかな楽曲、暗くて重い楽曲、激しい楽曲、アイドル楽曲を見事に演じ分けられていました。歌手であるにも関わらず声優のように演じる藍月なくるさんの歌の表現に魅了され、感動しました。

 

 一方で、オタク側の熱狂も凄まじく、現場に恵まれましたね。Endorfin.を越えたあたりから、会場のあちらこちらで、脳を破壊されたオタクの悲鳴・発狂・怒号が飛び交う様子は、阿鼻叫喚という言葉が相応しい。あれは、オタクの心の中でn年間積もり積もった怨念や情念があの一瞬で成仏するときの鳴き声です。「懐かしの楽曲で膝から崩れ落ちるオタク」、「FAKE IDOLで号泣するオタク」、「助けてくれと叫ぶオタク」など、オタクの挙動がすべて愛おしく、藍月なくるさんはこんなにもオタクに愛されているんだ……と感じました。いとも簡単に人間が壊れていく様は、初めてライブに参加するような方からすれば恐怖だったかもしれませんが、誰が悪いかと言えば、発狂しているオタクではなく、あんなになるまで放置した藍月なくるが悪いです。なくる先生は、あの日、市川市文化会館で成仏した魂を、責任を持って引き取ってあげてくださいね笑。

 

まとめ

 新規勢・古参勢双方を満足させるセトリ、感情に訴えかける歌の表現力、様々な表情を魅せる多様性のある楽曲、ダンスや演出、火力の高いオタク、その全てが素晴らしかったです。こんな神現場はなかなか遭遇できるものではない。MCで新たな呪いをしっかり植え付けていくところも大変素晴らしく、藍月なくるさんはこれからも迷い込んだオタクの脳を破壊していくのだと思うと笑いが止まらない。私もしばらくはライブの余韻に浸りたいと思います。

 

(配信視聴後)

  • なくちゃの配信を見て、あの「Oxydlate」のパフォーマンスが夢じゃなかったのが分かって良かった…… “私は 私は 「私は呼吸を手放してしまった」”←ここ本当にすごいね……
  • 「FAKE IDOL」前のMCめちゃくちゃ良いじゃん…… 男性「だと思う人」、女の子「だと思う人」っていう言い方が配慮があって素敵だし、女の子「だと思う人」と言うことで、「男の返事を期待」→「嘘つき」 の流れを自然に行っているのが特に良いと思いました…… 
  • 「FAKE IDOL」直前の口上“私ね みんなの応援があるからこれまで頑張ってこれたんだよ。これからも私のこと好きでいてくれる? 私もみんなのこと「あいしてるよ」”←これ、最後のMCと同じ話なのが最高すぎる……
  • 「FAKE IDOL」のアイドル部分と素の部分で声の使い分けをしてるのが好きすぎるし、“さよならはまだ… 「だよっ!」”←これ。
  • このブログを書いた当時は他人事だと思っていたけど、すっかり藍月なくるにハマってしまいました。終わりです

 

 

 

 

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*1:隣に座っていたお上品なお姉様が、イントロで直ぐに立って多動していたので、この現場は良い現場だなと確信しました